― 診療報酬改定を乗り切るための院内コミュニケーション術 ―
「院長はあまり関心がなさそう」「事務は重要だと思っているのに伝わらない」「収益アップにつながるのにもったいない」――診療報酬改定のたびに、こうした“温度差”を感じたことはないでしょうか。
令和8年度改定では、医療DXや加算要件の複雑化により、院内での連携がこれまで以上に重要になります。
本コラムでは、院長と事務の認識のズレがなぜ生まれるのかを整理し、そのギャップを埋めるための具体的な方法を解説します。
1.なぜ温度差が生まれるのか
院長と事務では、日々見ているものが異なります。
- 院長:診療・患者対応・医療の質
- 事務:算定・ルール・運用
そのため:
重要だと思うポイントがそもそも違う
さらに、診療報酬改定は制度が複雑で、
「よく分からないから後回し」になりやすい
という側面もあります。
2.よくある“すれ違い”のパターン
パターン①:事務は「重要」、院長は「優先度低」
→ 改定対応が後手に回る
パターン②:説明しても伝わらない
→ 専門用語が多くイメージできない
パターン③:決定が進まない
→ 「検討する」で止まる
3.温度差を放置するとどうなるか
このギャップを放置すると:
- 算定漏れ
- 加算未取得
- 現場の混乱
- スタッフの不満
につながります。
特にR8改定では:
運用できているかどうかが評価されるため、影響がより大きくなる
4.ギャップを埋める3つのアプローチ
①「数字」で伝える
院長にとって最も理解しやすいのは数字です。
- 「この加算で月○万円変わります」
- 「対応しないと年間○万円減収です」
抽象論ではなく“影響額”で伝える
②「診療への影響」で伝える
収益だけでなく:
- 患者待ち時間が増える
- クレームが増える
- 業務が非効率になる
診療への影響に置き換える
③「選択肢」を提示する
単なる報告ではなく:
- A案:最小対応
- B案:標準対応
- C案:積極対応
院長が“決めやすい形”にする
5.すぐ使える伝え方の工夫
NGな伝え方
「制度が変わるので対応が必要です」
→ 抽象的で動きにくい
OKな伝え方
「この対応をすれば月○万円の増収が見込めます。対応しない場合は算定できません。」
→ 判断しやすい
もう一歩踏み込むなら
「受付の運用を変えるだけで対応可能です」
負担感を下げる一言を添える
6.事務が主導するためのポイント
“翻訳者”になる
制度をそのまま伝えるのではなく:
院長が理解できる形に変換する
小さく始める
いきなり大きな変更ではなく:
「まずはここから」
成果を見せる
- 利用率アップ
- 算定実績
成功体験が次につながる
7.まとめ
院長と事務の温度差は、どの診療所でも起こりうるものです。
しかし重要なのは:
温度差をなくすことではなく、埋める工夫をすること
その鍵は:
- 数字で伝える
- 診療目線に置き換える
- 選択肢を示す
という“伝え方”にあります。
診療報酬改定の対応は、事務だけでは完結しません。
だからこそ:
院内を動かす役割としての事務の力が、これまで以上に求められています。




コメント