近年、薬局や病院で外国人患者に対応する機会が確実に増えています。
「英語が話せないから不安…」と感じる薬剤師も多いですが、実は重要なのは語学力だけではありません。
ポイントは、「やさしい日本語」と翻訳ツールの活用です。
■ やさしい日本語とは?
「やさしい日本語」とは、外国人にも理解しやすいように配慮したシンプルな日本語のことです。
難しい単語や長い文章を避け、短く・具体的に伝えるのが基本です。
例
- ×「食後に1日3回服用してください」
→ ○「ごはんのあとに 1日3回 飲みます」 - ×「副作用として眠気が出る可能性があります」
→ ○「ねむくなることが あります」 - ×「常用している薬はありますか」
→ ○「あなたは、毎日、薬を飲んでいますか? その薬は何ですか?」 - ×「このお薬は頓服薬ですが、基本的には一日2回までの服用にしてください。」
→ ○「この薬は〇〇が痛いときにだけ飲んでください。1日に2回だけ飲むことができます。」
■ やさしい日本語のコツ(すぐ使える)
- 1文を短くする(目安:20文字程度)
- 専門用語を使わない(→言い換える)
- あいまい表現を避ける(「適宜」「必要に応じて」はNG)
- ジェスチャーや実物(薬)を使う
- 紙に書いて見せる(視覚化)
■ 翻訳ツールの活用法
翻訳アプリは非常に便利ですが、「そのまま使う」と誤解を招くこともあります。
◎ おすすめの使い方
- まず「やさしい日本語」で話す
- その後、翻訳ツールで確認
- 重要事項は「逆翻訳」でチェック(再度日本語に戻す)
◎ 注意点
- 医療用語は誤訳されやすい
- 長文は翻訳精度が下がる
- ニュアンス(例:強い注意 vs 軽い注意)が伝わりにくい
■ 実践フレーズ(そのまま使える)
- 「1日 2回 飲みます」
- 「朝 と 夜 に 飲みます」
- 「お酒 は ダメ です」
- 「この薬 で ねむく なります」
- 「何か あったら 来てください」
※必要に応じて翻訳ツールで補助
■ トラブルを防ぐためのポイント
- 「わかりましたか?」ではなく
→ 「どうやって飲みますか?」と確認(Teach-back) - 指差し・チェックシートの活用
- 服薬スケジュールを図で示す
- 「第三者返答」を避ける
→ 外国人の方に話しかけられたのに同行していた日本人に返事をするのはNG
→ 相手に不快感を与える可能性があります - 日本語特有のオノマトペに注意
→ 「キリキリ」「ズキズキ」などは伝わりにくい
→ 別の表現に言い換える - 書類にはふりがなをつける
■ まとめ
外国人患者対応は、「完璧な外国語」ではなく、「伝わる工夫」が重要です。
やさしい日本語+翻訳ツールを組み合わせることで、誰でも今日から対応力を高めることができます。
薬剤師としての価値は、言語ではなく「安全に薬を使ってもらうこと」。
その本質を忘れず、できることから一歩ずつ取り入れていきましょう。



コメント