生活習慣病管理料は、外来診療における算定機会が多い一方で、「なんとなく算定している」状態のままになりやすい管理料のひとつです。
しかし、令和8年診療報酬改定では、療養計画書の運用や管理内容の妥当性など、“算定の根拠”がこれまで以上に厳しく問われる方向へと見直しが進んでいます。
その結果、これまで問題なく通っていたレセプトが返戻・査定されるケースや、窓口での患者対応に戸惑う場面も増えていくことが予想されます。
こうした変化の中で、医療事務に求められる役割も「入力・算定」から「確認・管理」へとシフトしています。
本コラムでは、令和8年改定における生活習慣病管理料の主な変更点とあわせて、窓口・事務担当者が日々の業務で押さえておきたい実務上の注意点を解説します。
※正式告示・通知に基づく最終確認は必須ですが、実務的に押さえるべき軸は以下です。
■ 生活習慣病管理料の主な変更ポイント
① 対象患者・算定要件の整理強化
- 高血圧・糖尿病・脂質異常症が中心
- 「継続的・計画的な管理」がより重視
- 管理内容の“具体性(目標・指導内容)”が求められる
ポイント:
単なる“処方継続”では算定しにくくなっています。
② 療養計画書の扱いの重要性アップ
- 療養計画書の作成・説明・交付が前提
- 内容の不備は算定リスク
- 電子化・簡略化の流れはあるが
→ 記載内容の質はむしろ厳格化
ポイント:
「作っただけ」ではなく
→ 説明した事実・署名・同意の管理が重要です。
③ “包括管理”評価の深化
- 生活指導・検査・薬物療法を一体評価
- 継続的(少なくとも6か月に1回)な血液検査の実施
- 他院受診・重複検査への配慮も評価対象
- 糖尿病患者に対する眼科・歯科連携加算の新設
ポイント:
→ 診療内容の整合性チェックが重要です。
④ ICT・情報共有の評価(拡充傾向)
- 電子カルテ共有
- 他職種連携
- データ活用(血圧・血糖など)
ポイント:
→ 算定施設の体制要件に影響します。
⑤ 長期処方・リフィル処方との関係整理
- 長期処方でも「管理しているか」が問われる
- 受診間隔が空いても算定の妥当性が問題に
ポイント:
→ 来院頻度と算定の整合性に注意が必要です。
■ 窓口・医療事務が気を付けるべきポイント(重要)
① 「療養計画書の有無」チェックは必須
算定漏れ・返戻の最大原因です。
✔ 確認ポイント
- 当月に計画書あり?
- 同意はある?(患者の署名は不要に)
- 前回から更新が必要な時期か?
NG例
- 計画書なしで管理料算定
- 古い計画書の使い回し
② 病名と算定の整合性
生活習慣病管理料は対象病名が明確です。
✔ 確認ポイント
- 高血圧・糖尿病・脂質異常症が主病か
- 疑い病名になっていないか
- 消えかけていないか
レセプト返戻の典型:
「病名と算定の不一致」
③ 算定月・頻度の管理
- 毎月算定できるとは限らないケースあり
- 他の管理料との重複算定禁止に注意
✔ 特に注意
- 特定疾患療養管理料との関係
- 別管理料への切替時期
④ 受診間隔と算定の違和感チェック
例:
- 3か月ぶり受診なのに毎月管理料?
- リフィル処方中で来院なし?
→ 査定対象になりやすいポイントです。
⑤ 患者への説明対応(窓口トラブル防止)
最近増えている対応です。
患者からよくある質問:
- 「管理料って何?」
- 「なぜ毎回同じ料金?」
事務の説明例:
- 「生活習慣病を継続的に管理するための費用です」
- 「治療計画をもとに診療しています」
ポイント:
→ 医師の説明+窓口フォローが重要です。
⑥ 書類・同意関連の保管
- 計画書
- 同意書
- 説明記録
監査対応で重要:
「あります」ではなく
すぐ出せる状態にしておくこと
■ まとめ
生活習慣病管理料は“書類と整合性”が命です。
- 計画書がないと算定不可
- 病名と算定の一致が必須
- 受診間隔と内容の整合性に注意
- 患者説明トラブル対策も重要
事務の役割は:
「算定チェック」+「監査対策」+「患者対応」
■ 最後に
令和8年改定では、
「ただ算定する時代」から「根拠を持って算定する時代」へ
さらに進んでいます。
事務さんのチェック精度が、そのまま医院の収益とリスク管理に直結します。




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